「神経変性疾患領域における基盤的調査研究」班編
ハンチントン病と生きる ―よりよい療養のためにー Ver.2
ハンチントン病研究グループ 2017 年 2 月改訂版 より転載
https://plaza.umin.ac.jp/neuro2/huntington.pdf

障害の程度に応じて、精神障害者保健福祉手帳を取ることが可能です。障害等級は、1 級、2 級、3 級に分かれています。手帳で受けられるサービスは“級”に よって異なります。

サービス内容は1税制上の優遇措置として、所得税および住民税の障害者控除 ( 1 ~ 3 級 )、 預 貯 金 利 子 所 得 の 非 課 税 ( 1 ~ 3 級 )、 相 続 税 の 障 害 者 控 除 ( 1 ~ 3 級 )、 自動車税および自動車取得税の非課税(1 級で自立支援医療を受けている方)など。 2生活保護における障害者加算(1~2 級)、都道府県により公共交通機関の運賃割引(1~3 級)、公共施設利用料割引(1~3 級)、公営住宅に関する優遇措置(1~3 級)などが行われています。3 “自立支援医療(精神通院医療)”についての医師の診断書や判定手続きが不要となります。

また、障害年金の受給者は医師の診断書の代わりに年金証書を提示することで年金と同じ等級の手帳の交付を受けられます。

なお、精神障害者保健福祉手帳の診断書は、基本的には精神保健指定医その他精神障害の診断または治療に従事する医師が書くことになっていますが、ハンチ ントン病等については精神科医でなくても精神・神経等の診断、または治療に従事している医師であれば書くことはできますので、主治医に相談してみてください。

不随意運動や精神症状を抑えるお薬を適切に処方してもらいましょう。ご本人やご家族は不随意運動を抑える向精神薬が増えることをあまり好まれない場合が 多いですが、適切な量を調整することで、薬のために眠くなったり、ボーとしたりすることなく、不随意運動をかなり減らすことは可能です。

この後は、いずれも不随意運動に関連した症状への対応の質問です。まずは不随意運動を改善するお薬を適切に処方していただくように、主治医とよくご相談ください。その上で、以下を参考になさって下さい。

まずゆっくりお話ししてもらいましょう。本人が何か言いたいときは、長い 文章で話してもらわず、重要な単語のみを言ってもらいましょう。その際、指を折りながら話していただくと一つ一つの発音がはっきりしやすくなります。本人から 聞きとった単語をヒントにこちらで内容を構成し、イエスかノーで答えてもらう質問に換えて訊き直しましょう。こちらから本人へ質問する場合も、イエスかノーで 答えられる質問に工夫してください。

さらに、ご本人が言いたそうな内容、あるいはこちらが聞きたい内容の文章 (「おなかがすいた」「散歩したい」など)をいくつか作り、あらかじめ紙に書くな どして、本人に言いたいことを指してもらいましょう。ゆっくり回答できる環境にすると、落ち着いてお話ができることが多いです。

病気が進行するとあまり体を動かさなくなってしまう患者さんが多いです。 このような場合、運動量が少ないために二次的に運動機能が落ちてしまうことが多いので、理学療法は大変有用です。また、精神症状や認知機能低下に対して作業療法も有効です。

しかし、ハンチントン病ではうつ症状や気力低下により、ご本人がリハビリテーションになかなかやる気を示さないことも少なくありません。少しでも本人の 興味を引くようなことがあれば、それを糸口にリハビリテーションをしてみましょう。抑うつや妄想などがある場合は、まず薬物療法も含めた適切な治療をし、精神科医とよく相談しながらリハビリテーションを組み入れましょう。


この項目に関する協力者
国立精神神経医療研究センター病院精神科 有馬邦正、外科 三山健司、神経内科 山本敏之、リハビリテーション科 小林庸子、歯科 福本裕、患者会のみなさん、国立病院機構相模原病院リハビリテーション科言語聴覚士 池山順子