研究開発型製薬企業やバイオベンチャーによるハンチントン病治療薬の最新状況をとりまとめています(2023年1月時点)。
ハンチンチン蛋白の低下を目的とした複数の薬剤が開発されており、臨床試験の段階は第1/2相か2相です。その中の主な薬剤の開発状況について一覧表にまとめました。
日本でも治験募集があったロッシュ社トミネルセンのGENERATION―HD1という臨床試験(第3相)では、潜在的な安全性の問題が指摘され、治験薬投与は中止となりました。
第3相試験は、多数の患者に薬剤を使用し、第2相試験よりも詳細な情報を集め、薬の効果と安全性を確認することが目的でしたした。あと一歩のところで断念せざるを得なかったようです。
ただし、2023年 1月に同社は、GENERATION―HD2という臨床試験(第2相)を発表し、被験者募集を開始するとの案内がありました。15か国(日本は含まれていません)の初期の顕性HD患者を対象としています。試験の主要目標は副作用(有害事象)の発生や重篤度や生理学データ(白血球、ハンチンチン蛋白量など)の評価となっています。
ノバルティスファーマ社は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子治療薬ブラナプラム(商品名 ゾルゲンスマ🄬)がハンチンチン蛋白も低下させることを把握しました。そこでVIBRANT-HDという臨床試験(第2相)を開始しました。しかし安全性の問題が発現したため中止しています。
現時点でも複数の企業が臨床試験にチャレンジしています。
補足説明 「臨床試験とは」
患者や健康なヒトを対象として、医薬品や外科的手技などの治療を試験し、有効性や安全性などを検討することを臨床試験といいます。なお、医薬品の場合は、治験と呼ばれ、国(厚生労働省)に薬として認められるまでに行われる臨床試験のことを指します。
・第1相:おもに安全性の評価
https://www.jhdn.org/latest-study/clinical-trial
・第2相:安全性と有効性、適切な投与量・投与間隔・投与期間の検討
・第3相:多数の患者に対して薬剤を使用し、実際の治療に近いかたちで評価
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